ビクトリア朝ロンドンで復讐に燃える理髪師を描くミュージカルを、ティム・バートン監督ならではのポップな美学と、ジョニー・デップ独特のユニークな熱演で映画化した話題作「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」! これが6回目のタッグとなるバートン監督とデップのこれまでの交流、そして今後をチェック! さらに本作の必見ポイントから製作舞台裏までを大特集!

 

 本作で注目なのは、何といってもジョニー・デップの歌! デップは元々ミュージシャン志望で、80年には“The Kids”というバンドを組んでいた。ただし、彼はギター担当で、本格的な歌の経験はなし。そこでバートン監督に出演を打診されたデップは、“The Kids”でボーカルを担当していたブルース・ウィトキンに協力を仰ぎ、彼のスタジオにこもって曲を研究し、歌のデモテープを製作、ウィトキンのお墨付きをもらってようやく歌声に自信を持った。デップは自身の歌声を「盛りのついた雄鹿のよう」と形容しているが、バートンは彼の歌声を絶賛。「ジョニーの声質は素晴らしい。とくにすばらしいのは内面から(感情が)湧き出てくるところだ」と語っている。  しかも、デップの歌声が聴けるのは、本作だけになるかもしれない。デップはすでに「今回はバートンの依頼だったからこそ引き受けた」と発言、「今後は舞台版や別のミュージカル映画への出演依頼があっても歌わない」と“歌声封印宣言”をしているのだ。というわけで本作はデップの歌声を堪能する貴重なチャンス。特にヴェネチア国際映画祭でも映像クリップが披露された「My friends」は必聴だ。

>> ジョニー・デップの歌声を動画でチェック!

 バートンが今回こだわったのは、彼が最初に舞台版「スウィーニー・トッド」に出会った時に感じた「古きよきホラー映画のよう」という印象に違いない。このキーワードが撮影・美術・衣装デザインのすべてに貫かれているのだ。まずバートンが美術監督ダンテ・フェレッティに美術のガイドラインとして渡した参考映画は、39年の名作ホラー映画「フランケンシュタインの復活」。そして、撮影のダリウス・ウォルスキーと相談して決めた映像の色調は「古いホラー映画のような褪せた色調」「血の色を除いては、色味を欠いた白黒映画のような色調」。さらにバートン監督は、衣装デザイナーのコリーン・アトウッドには「ホラー映画の名優たち、ボリス・カーロフやベラ・ルゴシが出演した古典的モンスター映画のような強烈なイメージをもつ衣装」を依頼。アトウッドは本作が白黒に近い色調になることを踏まえて、衣装の「色」ではなく「質感」にこだわり、様々な素材を用いて衣装を作り上げた。 これらの一貫した“こだわり”=「古いホラー映画のような」というコンセプトによって、バートン監督独特の美意識に貫かれた「スウィーニー・トッド」の世界が創出されたのだ。

ジョニー・デップの歌声がすごい ティム・バートンのこだわりがすごい 脇役のクセモノぶりがすごい/ ダンテ・フェレッティの美術がすごい