15歳で、母と離れて暮らし出した“ボク”が15年後、ガンに冒された母親を東京に呼び寄せて、2人の生活を始める……。愛情にあふれ、毎晩集まる友人たちにごちそうを作る、優しい“オカン”と、うれしそうに見守る息子。東京タワーが見える病室で“オカン”が亡くなるまでの姿をユーモアと、個性的な文章で書いたリリー・フランキーの自伝的小説「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」。またたく間にミリオンセラーとなった、珠玉の名作が、映画となって登場する。
若きリリー・フランキーである“ボク”には、海外でもその演技力に注目が集まっているオダギリジョー。恋人の母である“オカン”を慕う、“ボク”の彼女に『THE 有頂天ホテル』などで活躍している、松たか子。男は、母親を愛し続ける……、そんな主人公を2人はどう観たのだろうか?
オダギリ:よく、男の人は、一生マザコンと言いますが、自分にも言えることだと思います。自分は、まだ結婚していないので、母は一番大切な人だと思っています。
松:うちは3人兄弟なんですが、兄にしても、わたしにしても、相談ごとがあったりすると必ず母のところに行きますね。家庭を持っている兄と、わたしとでは、母親との関わり方もまた違うとは思いますが。
物語の“軸”となる、オカン役を演じるのは、2004年に自らもガンの摘出手術を受けた樹木希林。ガンになったオカンが抗がん剤の副作用で苦しむシーンは、映画の前半どんな苦労も笑顔で乗り越えてきたオカンにも耐えがたい苦しみを表現する壮絶なシーンとなっている。個性派女優として確固たる地位を築いている樹木の大きさを、同じ女優である松たか子は実感していた。
松:母親って、息子や家族のためだったら、どんなことだってする情熱があると思うんです。樹木さんも、そんな情熱をもって、オカン役をパワフルに演じられていました。漠然とした言い方しかできませんが、オカンに注ぎ込むエネルギーのすごさに圧倒されました。
家で、内職を地道に続け、小料理屋で働きながらお金を稼いでいたオカン。そのお金を何も考えずに使い、果ては大学を留年してしまう“ボク”。ただひたすら息子のためだけに、必死になって働いてきたオカンは、ある角度からみれば、かわいそうな人かもしれない。しかし、最愛の息子に見守られながら亡くなっていく“オカン”は、とても幸せだったはずだ……。
オダギリ:文字にすると、恥ずかしいことになってしまいますが(笑)、“人生がどれだけ愛情深いか”ってことになるのではないでしょうか。愛されることを幸せと感じることは簡単ですけど、人に愛情を持つことの方が大切なんじゃないでしょうか。
写真:平野太呂
(C) 2007「東京タワー~o.b.t.o.」製作委員会