よしもとさんの作品って、人生のつらい局面で、しみじみと周りを見渡してみるようなお話が多いですよね。その時初めて、今まで見えてなかった優しさとか悲しさ、そして大切さに気づいたりするんです。もともとよしもとさんの書いたお話は好きだったので、よく言われている“再生していく人間の過程”を演じきることが大事なのかな?と考えて撮影に入りました。
でも、そういう頭で考えることより、“なくなることも悪くないじゃないか”と思うようになったんです。確かに、なくなるということは、実際に触れることができなくなることなんですが、本当になくなってしまうことではなく、何かを得たりすることでもあるんだな、と思いました。
万が一、自分に何かつらいことがあっても、いつかはまた元気になれるし、今までの自分よりもっと強い自分になってたりするだろうから、そういう哀しみを、悪いことだと思って恐れたりすることもないのかもしれませんね。
本当に悟みたいなお父さんを目の当たりにしたら、やっぱり嫌ですよ。ましてや高校生の時だったらなおさらですよね。母親の葬式の最中にフラッといなくなったりするのは、本当に許せないと思うんです。でも、役所さんの演じているお父さんの悟を見ていると、今の自分だったら許せてしまうんですよね(笑)。
役所さんは、人間の際だたせ方が本当にお上手なんです。お父さんの弱さみたいなものを、分かってあげたい気持ちにさせられる。そういう人なんだと思って、受け入れてしまいそうな気持ちになってしまう。素晴らしい役者さんです。
多くの映画に出演されてますが、出演を決める基準はどこにあるのでしょうか?もちろん台本は読むんですが、オファーの時点で台本がない場合は、読まずに決めることもありますよね。監督の名前だけでやりたいとか、いろいろ理由はあるんですが、そんなに振るいにかけるようなこともないんです。
ただ、私とても幸運で、やりたいようなお話がやりたいときに来るんですよ。すごく幸せで、その幸運さには感謝しています。『アルゼンチンババア』の場合は、“よしもとさんの小説を映画化するんだったら、やりたい!”という思いがあったし、役所広司さんとの共演も頭にありました。
役所さんとは今までに何度か共演させていただいていて、その度に“すごいな”と感動させられているんです。私は女優ですけど、役所さんのような役者になりたいって思うんですよ。
京マチ子さんや太地喜和子さんのような、気っぷのいい、貫禄のある女優さんに憧れます。最近は昔の日本映画を見返すことが多くて、高峰秀子さんをはじめとする女優さんたちが、本当に素晴らしいなあって感じていますし。やっぱり芯の強さがしっかりと伝わるような役を演じたいですよね。