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『ディア・ドクター』笑福亭鶴瓶&西川美和監督 インタビュー 2/2
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西川監督は僕のすべてを知っています

―― 監督が偽者として描いた主人公の伊野に、あえて本物の芸人・鶴瓶さんを選んだ理由は?
監督:最初は偽物の話なのに、鶴瓶師匠のような天才をキャスティングするなんて無理があるかもしれないと思っていたんですよね。伊野は、本能的に自分を他人に合わせてしまう、空っぽな人間という設定だったんです。自分というものがないのに、なぜか人に好かれる資質だけは持っていて、大変な状態に追い込まれてしまう。そんな魅力のない人間を、魅力のある人が演じるというギャップが不安だったんですけど、師匠は伊野の人間性を深く理解してくださいました。実は、師匠も人に合わせてくれる方なんですよね。
鶴瓶:監督は僕のすべてを知ってはりますから。
監督:はい。そんなことまで! っていうこととか、かなり知っています(笑)。
鶴瓶:いや、それが本当かどうかわからんで。伊野は人に合わせるから(笑)。
―― 鶴瓶さんは夏休みを返上してでも本作に出演したいと思われたそうですが、その一番の理由は?
鶴瓶:僕は自分が体験した面白い話を人にするのが好きなんですけど、それが固定されるのは嫌なんです。どんどん新しい話が生まれていくのがいいんですよ。この作品は出演者の構成が面白そうだし、1か月半もの間、芸人が映画のクルーと一緒にいるということは、それだけいろんな話の要素ができる。だから僕は、この西川監督という船に乗ってみようと思ったんですね。
―― 船の乗り心地はいかがでしたか?
鶴瓶:メチャメチャ良かった! 女の人ってたいがい嫌な面があるんですよ。もちろん、そこを含めて男は女性を好きになるんやけど、監督には嫌なところがまったくないんです。
監督:わたしも師匠といるとすごく楽なんです。師匠といると誰でも楽になれるのかもしれませんけどね。
映画は撮り終わったら全部監督のもの

―― 伊野と未亡人の患者・かづ子(八千草薫)と交流は、純愛にも似た雰囲気を感じました。
鶴瓶:もっと年齢が近かったら、二人きりの夜の往診シーンも生々しくなるんやけど、年齢が離れていますからね。本当にいやらしくなく、わかり合えた大人同士の優しさみたいなものがすごく出ていると思います。
―― 夜の往診を終えた伊野が、かづ子へのあいさつとして暗闇の中でペンライトを照らすシーンもロマンチックでしたね。
鶴瓶:そうそう。監督はあそこまでいい雰囲気が出るって思っていたの?
監督:ええ、あれは意図したものです。伊野とかづ子とのちょっと離れた関係を描きたかったんですよね。他人同士なんだけど、言葉もなく二人がつながるシーンを撮りたかったんです。
―― 最後に、お二人が本作を観た方に感じてほしいことは?
鶴瓶:感じ方は人それぞれですから、自然に観てもらえたらいいんじゃないですか。映画は撮り終わったら全部監督のものですから、「あかんなぁ」も「ええなぁ」もみんな監督の責任です(笑)。
監督:わたしの責任なんですね(笑)。この映画は、病気や老い、死をどう受け止めていくかを描いているんですけど、重くならないように明るくて楽しい作品にしたいと思って作りました。観終わって、より多くの人が自分の角度で何かを考えるキッカケになってくれたらうれしいですね。
取材・文:斉藤由紀子 写真:高野広美 編集:シネマトゥデイ

