『クローバーフィールド/HAKAISHA』
プロデューサー J.J.エイブラムス インタビュー

謎の映画としてここ日本でも大きな話題になっていますが、この盛り上がりを仕掛けた張本人として、どう捉えていますか?

■J.J.エイブラムス(以下、J.J.):話題になっているのは嬉しいよ。去年の夏に露出した特報から火が付いたんだけど、特報や予告編は“どういうものなんだろう?”という興味を沸き立たせるものであり、あまり多くを解説してはいけなと思っている。

この企画自体、『M:i:3』の来日中に浮かんだそうですね?

■J.J.:8歳になる子供とおもちゃ屋さんに行った時に、ある怪獣のフィギュアを見かけたんだ。そこからインスピレーションを得たんだけど、その手の映画を従来通りには作れないから、違った形で作りたかったんだ。

その怪獣はかつてアメリカでも暴れましたが、そこからは何もアイディアは浮かばなかったんですか?

■J.J.:逆にアレが弊害だった。『キングコング』のリメイクもそうだけど、製作費が莫大だ。スタジオはお金のかかる怪獣映画には、あまり手を出したがらない。だから安く怪獣映画を作る方法はないかと考えた末、ビデオカメラで撮影するというアイディアが浮かんだんだ。

ビデオカメラで撮るメリットは?

■J.J.:ひとつの視点からしか撮れないので制限はあるけど、その分安く、そして、怖く出来る。二つのメリットがあるよ。

主人公が日本の企業に就職したという設定等、日本がいろいろと絡んできますが、それは日本で本作のアイディアを得たからですか?

■J.J.:日本でインスピレーションを得たので、出来るだけ日本というキーワードを散りばめたかった。アイディアは日本から来たのに、主人公が日本に行くのはシニカルだと思ったんだ。そして、更に主人公が日本に行く前に、“日本”がやってくるんだ(笑)。

全貌を伏せて公開するというアイディアは、どのような経緯から生まれたのでしょうか?

■J.J.:スピルバーグがモンスターやエイリアン、恐竜、サメを公開前に見せないのと同じだよ。セオリーだ。キャスト、スタッフとこの“映画について一切口外しない”という契約書を交わしてから、本編を撮る前に特報を作った。特報がお披露目された時に、誰も知らない映画になるようなサプライズを仕掛けたかったんだ。

本作にとって、特報や予告編はとても重要なウエイトを占めているようですね。

■J.J.:僕が子供だった頃は、予告編を見て、初めてその映画の存在を知ることが多かった。でも今はテレビや雑誌、インターネットで情報が全部流れてしまう。語りすぎるのは逆効果になるから、タイミングと適度な情報量が大切だと思っているよ。

インターネットで様々な情報を出していった狙いは?

■J.J.:この作品はひとつの視点でしか描いていないから、全てが語られる訳ではない。いろんな視点をストーリーに付け加えられるように、インターネットで情報を流したんだ。

具体的には?

■J.J.:ソファーでのびている女性のバックグランドがネット上で語られている。また、シャツに描かれているロゴは主人公の勤める会社で、そのホームページも存在する。ほかにも一杯あるから、調べればより深く、そして、多角的に本作が楽しめる。でも、ジェットコースターのような映画だから、インターネットで調べなくても、十分に楽しめると思うよ。

9.11を連想させるのですが、影響はありますか?

■J.J.:9.11の時、僕はあそこから4ブロックしか離れていないところに住んでいたんだ。あの体験は忘れられない。ニューヨークが舞台だから、どうしても9.11を思い出すと思うけど、それがこの映画の目的ではない。この映画の目的は得体の知れない何かが攻撃をしてくる様を、出来るだけリアルに描くことだ。確かに、現代社会は大きな不安を抱え、人々は何か恐怖を感じながら暮らしている。映画というファンタジーを通じて、その恐怖を体感すれば、その恐怖はカタルシスになると思う。

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