『ガチ☆ボーイ』佐藤隆太 インタビュー

主役の五十嵐良一を心の底から演じたいと思ったそうですが、その理由は?
佐藤隆太(以下、佐藤):今から4年ぐらい前に、本作の基となる劇団モダンスイマーズさんの舞台『五十嵐伝~五十嵐ハ燃エテイルカ~』を記録用ビデオで拝見しました。笑って泣いて、見終わった後も熱いものを感じました。ですから映像化される時には是非参加したいと思っていました。この数年間、常に心のどこかに存在した作品でありキャラクターだったので、役が決まった時はとても嬉しかったですね。
演じられた五十嵐はどのようなキャラクターだと解釈しましたか?
佐藤:舞台を見て刺激された部分もあるのですが、五十嵐は強いですよね。逆境の中に立たされても、絶対に逃げないし諦めません。全身全霊で毎日を生きている。彼の生き様から、基本的なことなのですが、生きていくうえで何が大切なのかを学びました。男として尊敬できるキャラクターです。
演じる際に気をつけた点は?
佐藤:五十嵐が抱えている高次脳機能障害はとてもデリケートな問題なので、実際にこの障害を負われている方や、五十嵐という男に対して失礼のない表現をしなくてはならないとまず思いました。
昨日のことを覚えていないということは、経験したことのない感情だと思います。演じるのは難しかったのでは?
佐藤:プロレスという挑戦もあったのですが、何よりも一番悩んだのは五十嵐の感情表現ですね。どれだけ考えても、五十嵐と同じ気持ちになることは出来ません。だからといって、役へのアプローチを投げ出すことは絶対にしたくありませんでした。そうなると自分に出来ることは、五十嵐とひたすら向き合うことです。彼だったらどういう言動をとるだろうか?ということを常に考えていました。2ヶ月間の撮影期間中、いつも頭の中で五十嵐が渦巻いていましたね。
見ている我々も体験したことのない感情ですが、五十嵐の心情が心に響くような演技でしたよ。
佐藤:本当ですか?そう言って頂けると本当にやって良かったと思います。その一言でホッするんですよ。撮影が終わってからも、こんなにドキドキする作品は余りないです。でも、どんな風に思われても、現場に参加していた全員が全てを出し切ったと誇れる作品です。その気持ちも大切にしたいなと思います。
泣けたから良い映画だとは思わないのですが、感情が揺さぶられる作品でしたよ。
佐藤:僕も泣けるから良い映画だとは思わないですね。“泣けたよ”と言われるのはもちろん嬉しいですが、それだけでは安心できないですね。

