『恋空』新垣結衣 インタビュー

1600万人が涙した大ヒットケータイ小説の映画化ですが、その主人公を演じるのにプレッシャーはありましたか?
新垣結衣(以下、新垣):撮影している最中は演じるのに精一杯で、そういうことを考えている余裕はなかったです。主人公の美嘉に降りかかってくる悲しい出来事が辛すぎて。“美嘉を演じる”といっても疑似体験してしまうわけだから、「自分がどうなっちゃうんだろう」と思って、すごく怖かったんです。自分を保つに必死で、かつ演技を出し切るのにも必死でした。
自分と美嘉の境界があいまいになることがあったんですか?
新垣:涙を見せるシーンがすごく多かったんですけど、本当に悲しい気持ちにならないと涙って出てこないんです。そんな時は美嘉と一緒に新垣結衣も同じことを経験している感じでした。
ちなみにこれまでケータイ小説を読んだことは?
新垣:ないですね。それがすごく流行っているのも知らなかったんです。作品の説明を受けた時に「そういえば高校生の時、教室で携帯の画面を見て泣いている友達がいたなぁ」と思い出して、「それってこのことかぁ」と思いました。
では原作のイメージを持たずに撮影に入られたんですね。
新垣:そうですね。原作を読まないといけないいのかな、とも思ったんですけど、台本を読んでスタッフの皆さんと顔合わせをして、(ヒロ役の三浦)春馬くんと2人で台本の読みあわせをした時に、監督やプロデューサーに「そのままでいい」と言われたので、読まずにそのままの感じで撮影に入ることにしたんです。で、「じゃあ、撮影が終わってから読みます」と言ったんですけど、映画って原作の所々を摘んで見せているわけですよね。それで「原作ってもっと辛くて悲しいんだ」と思うと、まだ読む勇気が出なくて、読めないでいるんですよ。
美嘉をどんなキャラクターだと考えて演じましたか?
新垣:年齢的にすごくいろんなことに興味のある時期でもあり、ごく普通の女の子ではあるんですけど、でもやっぱり最近の普通の女の子よりは控えめというか、積極的ではないイメージでした。なんか台本を読んで周りの皆さんがイメージした美嘉と、普段の新垣の雰囲気とかテンションが似ていたらしいんですよね。でも確かにそう言われると、演じていてテンションを無理矢理上げたり下げたり、言い方のニュアンスで苦労したりということは全然なかったです。監督からも「もっとこういう女の子にしてくれ」っていうような指示も全くなくて、全部任せてもらえました。
では役作りは楽でした?
新垣:いつもそんなに役作りはしないんです。台本を読んで全体的な雰囲気とかはイメージするんですけど、役を作り込むよりは、現場に入って「もっとこうしてくれ」って言われた時に柔軟に対応できる方がいいだろうし、相手のセリフの掛け方によって自分の役も変わってくるので。確かに美嘉ちゃんは特別何もしなくてもよかったんですけどね。それはすごくラッキーだったと思います。
でも美嘉は普通の人はあまり体験しない、特殊な出来事を体験しますよね。そんなある意味では普通ではない美嘉に共感を持ってもらえるよう演じるのは、難しくなかったですか?
新垣:確かに最初に台本を読んだときに「これが今の女子高生、女子中学生のバイブルだ」って言われて、すごくびっくりしたんですよ。「こんな波乱万丈な人生がバイブルって、どういうことだろう」って。でもみんなが共感しているのはそういう波乱万丈さじゃなくて、好きな人を想う気持ちとかなんだなってわかって。演じている時はお芝居とはいえ、ただただ降りかかってくる出来事を乗り越えるのに必死で、周りの人がどうとか考えている余裕はなかったんですけど、そういう悲しい出来事にばかり目がいってしまう作品になったら嫌だな、とは思っていたんです。でも完成版を観たら、人を思いやる気持ちとか、人が支えてくれていることとか、そういう暖かい部分の方がよく見えるものになっていました。
美嘉はいろいろな障害にぶつかりますが、多くの人に助けられながら前を向いていきます。新垣さん自身は障害にぶつかったとき、どう乗り越えるのでしょうか?
新垣:やっぱり誰かに助けを求めたりしますね。周りの人たちの協力や助け、時にはあきらめも入り混じりながら、でも絶対に1人で乗り越えてきたことはないと思います。台本でこの映画の結末を読んだ時に「美嘉ってすごく強い女の人だな」って最初は思ったんですけど、でも美嘉もやっぱり1人で強くなったわけじゃなくて、周りの人たちががっちりと支えてくれて、だから乗り越えていけたんだなって思ったんです。で、その時に、プライベートの自分もそうなんだなって、改めて気づかされました。私もいろんな人に支えられていて、周りの人がどれだけ自分を想ってくれているのかはわかっていたつもりなんですけど、こうやって美嘉を演じてみて、「自分もそうだなぁ」って改めて思い知らされました。
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