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『めがね』加瀬亮 インタビュー

今回演じられたヨモギはどんな役だと思いますか?

加瀬亮(以下、加瀬):荻上監督がとても感じの良いキャラクターとおっしゃっていたので、それを出発点にしました。ファンタジーと現実の両方にきちんと足をつけているので、今回の登場人物の中で一番バランスが良いと思います。

登場人物の経歴が詳しく語られない作品ですが、演じるにあたりヨモギがこれまで歩んできた人生を考えたりしましたか?

加瀬:事前に荻上監督から役の詳細背景を頂きました。それを参考にしてもしなくてもどちらでも良いと言われたのですが、一通り意識しながら演じました。ただ、説明しない方が膨らむところもあると思うので、いろんなものを入れるというよりは、その都度シンプルに演じるようにしました。

一言では語れない不思議な作品ですが、加瀬さんはご覧になって何を感じましたか?

加瀬:寂しくて、優しい作品だと感じました。

寂しい?

加瀬:良い意味です。人が元々持っている寂しさでしょうか。それをそっと埋めてくれるような作品ですね。

宣伝には一切“癒し”という表現が使用されていないのですが、癒される部分もある作品だと思います。加瀬さんは癒されましたか?

加瀬:癒しという言葉自体あまり使わないですし、良くわからないのですが、独りぼっちだと思ったときに、寄り添ってくれる作品だとは思いました。

本作品の重要なキーワードである“たそがれ”ですが、加瀬さんはたそがれたいですか?

加瀬:そうですね…ゆっくりしたいかと言われれば、ゆっくりしたいですけど、あんまり僕は思わないですね。誰かのことをじっくり想うとか、誰かと一緒にいられるのであれば、たそがれを過ごしたいと思います。

作品の中に登場するような宿と海と砂浜があって、あんな不思議な人たちがいたら留まりたいと思いますか?

加瀬:僕はあまり思わないですね(笑)。都会的な部分が今の自分には必要です。例えば、理想で言えば都会に家を持ちつつ、山小屋も持っていて、気分に合わせて調整できる感じが一番自分にあっているような気がします。

では小林聡美さん、もたいまさこさんはじめ、共演者の方々は如何でしたか?

加瀬:小林聡美さんだけ共演したことがなかったですし、一緒に仕事もしてみたかったので、今回は小林さんの印象が強く残っていますね。ずっと先をいっている女優さんだと思いました。学ぶべきことが多かったですね。小林さんに限らず、この仕事を長く続けながら素敵に年取っていく方々と一緒に仕事をすると、まだまだ自分が知らない豊かな場所があることを学ぶことができます。それが嬉しいですね。

光石研さんはいつもと違うイメージで個人的には良かったと思うのですが

加瀬:光石さんとは多く共演させて頂いています。本当に素晴らしい役者さんなのでいろいろな面を持っていらっしゃいますが、普段の優しさが今回溢れ出ていると思いました。

続いて監督ですが、比較的年齢の近い荻上直子監督(35歳)の才能をどう評価されますか?

加瀬:いやー、凄いと思いますね。こういうファンタジー要素があって、自分の独特な世界観を持っている脚本をサラっと書いてきますから。こういう人は今少ないと思います。シャイな方なので、演出は言葉ではなく絵で語るのですが、それがとても映画監督らしくて信頼できました。

この作品に出演して良かったと思うことは?

加瀬:キャストもスタッフも自分より年齢を重ねた人たちが多く、その人たちの感覚や視点で描かれていると思います。自分が年を取った時にどんな景色を見るのか?年を取ることが今回の仕事をして楽しみになりました。

『硫黄島からの手紙』をはじめ、このところ話題作への出演が相次いでいますが、何か心境の変化はありますか?

加瀬:自分自身はあまり変らないですね。でも大きな作品でしか成し得ないことを経験して、今までは小さな作品に凄く愛着を持っていたのですが、その差が無くなって来ました。

では俳優業の魅力は?

加瀬:映画の魅力は出会いと誤算です。映画は一人では成立しません。多くの人が集まって作るものです。呼ばれるうちはなるべく参加したいです。そして、全部キッチリやったからといって、イメージ通り撮れるかというとそうではありません。誤算とアクシデントと偶然から生まれます。この不完全さが魅力ですね。

誤算に関しては『ピンポン』、『ベクシル-2077日本鎖国-』の曽利文彦監督も同じことをおっしゃっていました。

加瀬:そうですか。仮に自分の表現をしたいのであれば、本を書くとか絵を描くとかまったく違う表現方法を選んでいたと思います。役者の場合は自分を出しません。この自分を置いてくるということ自体、日常的ではないですよね?それが面白くて続けているのかなと思います。

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