5月25日(金)公開
行き当たりバッタリの迷プロットとその場しのぎのいい加減な展開で、正統な映画ファンをナメまくる神をも恐れぬ海洋冒険シリーズの最終章。3時間もの上映時間&CGで今回もパイカリ・ファンをノックアウトすることでしょう。3点のうち2点は全作中一貫してキュートだったキーラ・ナイトレイのステキな“白い歯”に。そしてあとの1点は人を食ったオバカ演技でトリックスターの役割を十二分に果たしたジョニー・デップに進呈。
ジョニー・デップが楽しげなのがいい。他のみんなも気持よさそうだ。時々オッ!と目を見張るシーンもあるが、たいていは子供じみたふざけっこやド派手なアクションの繰り返し。正直言って退屈する。いろんな因果関係もどうでもいいという気になる。娯楽映画はもっとひきしまっていないといけない。かつてアメリカン・ニューシネマが愛想をつかしたハリウッドの夢工場の一番悪い面の代表のようではないか。
ジョニー・デップが初めて登場した瞬間、観客が一斉に身を乗り出してポップコーンをほおばり始めた。本作が良きスター映画であり、ポップコーン・ムービーであることの証左だ。長尺が災いしてか途中だれるところもあるが、ジョニーが出るシーンになると急に画面が活き活きするのは不思議なほど。クライマックスの迫力も大いに満足で、このシリーズ、尻上がりに面白くなっていった。なお、エンドタイトルで席を立つのは厳禁です。
ジョニー・デップ船長、帰ってきたジェフリー・ラッシュ、ブレイク道ばく進中のキーラ・ナイトレイ嬢の3人があまりにも息ぴったりで、対照的にオーランド・ブルームは透明人間のように影が薄い…。CG技術も行くところまで行った今、“作家性なんていらーん”主義のこの手の大作に人を惹きつけるのは、やはり俳優の放つ力と実感しました。だからがんばれオーリー! そしてチョウ・ユンファのハリウッドでのジャン・レノ化が、いよいよ心配です。
飽きさせない、ワクワクするための仕掛けが丁寧に散りばめられていて、やはりこの映画はエンターテイメントとして格が違うという印象。世界観の隅々にまで、作り手の愛を感じる。何も芸術に昇華された表現などなくても、人は最高の楽しさを味わうだけで人生を変えられるような感動を味わえるのだな、とさえ…言いすぎ? もっとも、「ハリウッド映画を観る度に、札束が頭に浮かんでしまう」という人には楽しめない映画かもしれないのでした。