7月7日(土)公開
恋人の死から立ち直れない私立探偵(金城武)は、酒をあおり続けて自己憐憫のかたまり。彼の調査への協力を装いながら大胆不敵な犯行に走る刑事(トニー・レオン)は、復讐という大義名分を得てさっそうたるもの。キャスティングに自信があるのか、最初から犯人をわからせる「刑事コロンボ」的な手法で進むが、男のナルシズムの発表会に見えて失笑を禁じえないときがある。酔いどれ探偵に調査を頼む刑事の妻がもっと賢いと悲しみが深まった。
『インファナル・アフェア』のクールな男の世界はどこへやら、情緒過多で梅雨空のごとく湿っぽい映画。非情な復讐に走るトニー・レオンの刑事も、かつての部下で今はしがない私立探偵業の金城武も、確かに傷だらけの男ではあるが、それをこう臆面もなく見せつけては香港ノワールの看板が泣く。男と女の情を絡ませることで『インファナル…』との違いを出そうとしたのだろうが、女のキャラクターが単純で描き方も荒っぽいときては…。
この世に映画などなくても、別に人生困らないだろうが、トニー・レオンのかっこよさは老若男女を問わず触れておいて損はない。本作もストーリーのこなれていない欠点をスタイリッシュな映像でごまかしている感はあるものの、とにかく彼を観ているだけで全く飽きないのだ。金城武とのコンビネーションも上々だが、何よりも彼がそこにいるだけで映画の評価の星ひとつ増えてしまうのだから、これぞ真の映画スターというべきだろう。
バイオレンスな物語を涙で落とす! 『インファナル・アフェア』コンビの俺節は本作で確立した感があるけれど、“涙”部分に感動するか白けるかで評価が分かれますね。役者部に関しては、眼鏡をかけたトニー・レオンが内村光良に見えてしまうのは些細なこととして、アル中・金城武はもっと汚しても無問題ですよ。基本的には男の子の世界なので、女性キャラの薄い描写も様式美と捉えるべきかもしれません。スー・チーを除いて。
ある殺人事件の裏に隠された真実を解き明かしていくストーリー。主演のトニー・レオン&金城武が、男の心のもろさや相対する精神の強さを上手く演じていると思う。舞台となった香港の景色も近代的なビルが立ち並ぶかと思えば、昔ながらの裏路地があったりと、とても魅力的に街が描かれている。その殺人事件はなぜ起きたのかが分かった時、とても切なくてなった。でも、人は誰かを愛さずには生きていけないんだなと深く考えた。