7月14日(土)公開
くっきり太い眉が魅力のレイチェル・ワイズに「どう思う? 死は創造だという考え」と問われて一瞬昂揚感を覚えるが、くどいほど構成にこだわった映像が興を削ぐ。我が子以上に可愛い作品にこだわる監督の気持ちはわかるが、展開されるのはけっこうありふれた死生観。不老長寿の極意は「死」の中にこそありという思想をもっともらしく説かれても、いまさらの感が強い。ヒュー・ジャックマンの献身的な演技は役者の鑑ではあるけれど。
これまでも哲学的な作品を撮る監督ではあったが、ここまでくると宗教映画のようだ。死の運命を受け入れる妻と、妻のために特効薬の研究に没頭する夫の愛は、崇高で美しい。演じるヒュー・ジャックマン、レイチェル・ワイズも悪くない。が、後半から続く神がかり的な映像に興ざめしてしまう。監督曰く「映画を見ている間、僕はどこかに連れて行って欲しいと思う」というが、あんな洗脳ビデオのような世界には連れて行って欲しくない。
マニエリスム系絵画を思わせる精緻で象徴的な映像が美しい。愛し合う夫婦が永遠の愛とは何かを見つけるまでの苦闘の話だが、末期の病に冒された妻レイチェル・ワイズのために、不死の特効薬を開発しようとする医師ヒュー・ジャックマンがあまりに感情的なので、疲れてしまった。映画は当事者ではなく第三者が観ているという認識で作ってくれないと、愛も死も押し付けがましいものになってしまう。妙に複雑な展開も効果的とは思えない。
原作のグラフィック・ノベルズは、ひとコマひとコマが、中世の絵画のように優雅に、ていねいに描かれ、シュールなビジュアルも目立つ。ひとコマひとコマを取っただけでも、1枚の絵画として壁にかけられるほど。はたして既に完全なビジュアルになっているものをどう映画化するのか? ところが、新手があった! 「信仰心」というテーマをそのままにして、60年代の東洋思想も含むサイケとして映画化だ。特異であり刺激的。発想が抜群。
なんとも難解な作品だと思う。物語は、死を覚悟した妻と、その妻の病を治すため特効薬開発に没頭する夫の物語を中心に展開していく。映像はとてもキレイで絵画を見ているようなのだが、現代以外の別の時代が登場してくるので、何がどうつながっているのか理解できず、「ん? ん?」と自分の頭の中を整理することに集中してしまった。ある意味、今まで見たことのない、新感覚な作品だったことは確かだ。